日本海を望む出羽三山が四季折々の表情をみせるように、羽黒修験道は、四季の峰という季節ごとの修行を行いました。その一つ、「秋の峰」では生まれ変わりの修行を実践し、生きながら若々しい生命をよみがえらせることができるという考えを確立しました。それは中世にまでさかのぼる死と再生の儀礼を現在に伝える日本で唯一の修行といわれます。
修行者は、駈ける山々の風に揺れる草木一本に、動物に、自らに、森羅万象すべてに、宇宙のはたらきが生まれながら備わっているのをみます。ここに認められる自然界の生きとし生けるものと共存し、生命の尊さを学びとり、互いを配慮するという考え方は、多くの人々の心に共感を呼び、さらに人の生きかたを深めることでしょう。
羽黒修験道は、はるかな眼差しと未来に伝えるべき豊かな可能性を宿しながら、今も出羽三山に鼓動しています。